ILAカンファレンス2002 特別講演1
「情報教育のこれから」
麗澤大学国際経済学部 教授
林 英輔
94年、通産省(当時)が情報化のアクションプログラムを提案したことがありました。そのアクションプログラムを作るためにアメリカへ調査に行ったとき、当時アメリカでは「K12」というのが始まっており、この「K」は「Kindergarden(キンダーガーデン)=幼稚園」、「12」というのは12年課程で、幼稚園から高校までの教育にネットワークを取り入れるというプロジェクトだったのです。それを見まして、日本でも「K12プロジェクト」をやりましょうということになり、始まったのが「100校プロジェクト」でした。
100校プロジェクトは実験的なモデル学校のプロジェクトで、インターネットを活用するとどんな教育内容があるのか、どんな学習効果があるのかを実証するという目的でした。そのなかでわかってきたこととしましては、金子先生のお話にもありましたが、「教師の役割の変化」というのが明らかで、非常に多様な能力が必要になるであろうということです。また、生徒の情報発信力、情報活用力、表現力というのがどれだけ伸びているかということもわかり、ネットワークという学校を開く意義も見えてきました。
学校で情報教育を行なうのは、一言でいうと情報活用能力の育成ということになります。文部省的解釈でいうと「生きる力を育成するための重要な要素」です。小・中・高を通じて総合的学習という情報教育の授業が入りました。中学校の技術・家庭科で「情報とコンピュータ」という科目を実習で1年間行なうということで、すでに施行されています。また、高校では情報科が新設されます。普通科の場合、情報科のなかに3科目、情報A、情報B、情報Cがありまして、来年度からこの授業が始まるということになっています。情報Aでは、情報活用能力、リテラシーを中心に学び、実際に問題解決をするために実習を行うという内容。情報Bは、コンピュータ開発、情報科学ということで、科学的理解を深めます。情報Cは、文科系の大学に進む学生もおりますので、情報化社会に参画する態度、情報活用に際してのいろいろな難しい問題をきちんと理解できるように学びます。社会判断も含みます。それぞれの高校は、これらの科目のうち1つを必ず1年学習するという選択実習になっています。
教育の情報化というのは、1つには全教科の学習で情報システムの活用を行なうということ、もう1 つは、学校の情報化を行なうということです。文部科学省は、「情報教育に関する手引」の新版を公表しました。まだ出版物になっているかはわかりませんが、文部省のWebページから見ることができます。「情報活用能力育成の考え方」というところから説明されていまして、各学校段階、各教科等と情報活用能力との関わりなどがかなり詳しく説明されています。すでに先生方は目にされていると思いますが、まず最初に取り組む具体的なイメージとしてこれを見ると、かなり助けになると思います。
柏市では97年ぐらいから、学校のインターネット接続と利活用の自主的な動きが出てきました。それを知ったわれわれ大学の同僚たちが手伝って、「柏インターネットユニオン」を作り、学校にインターネットのコネクティブを提供するということを始めました。現在、その組織はNPOとなりまして「NPO-KIU(KIU=柏インターネットユニオン)」として活動しています。柏市には私立学校(市立?)が50校ありますが、50校すべてがKIUネットワークに繋がっており、そのうち6割は学校インターネットプロジェクトのネットワークに繋がっています。
柏市の教員、父兄、子どもたち、この3つの層に対するアンケートによりますと、PCを使った授業に対する考えは子どもたちが一番進んでいるようでした。教員や父兄に関しては、そういった流れは歓迎しながらも、具体的にそれに対して力を出すという段階になるとかなり戸惑いが見られます。で、ここで情報教育をやっていかなければいけないという訳です。
アンケートでもわかったのですが、教員も父兄もあるところまでは来ているけれど、あともう一歩が足りない。教員も意識変化は進んできてはいるが、授業運用上の難しさはまだ減っていない。教材ソフトやコンテンツ、参考情報、教員の研修がどうしても必要なのです。教員と父兄のことを考えると、地域からの支援がもっと積極的に進められなければいけないと思っております。
地域コミュニティーの活動拠点としての開かれた学校づくりを進めていくには、特色ある教育活動の展開が必要になってきます。総合的学習や体験学習などは、やはり地域の協力があったほうが上手くいく訳ですから、そういう意味でも学校と地域の関係を改善していかなければいけません。学校は、学校の情報を保護者や住民に伝えることが必要です。しかしここで問題になるのが、人と人が顔を合わせる会議などは昔のように開けないということです。ここにネットワークを活用することで道が開けると思います。行政との交流の手段としても、学校はインターネットを介して、方針や教育課程の内容、教育活動について意見を交わすことができるのです。
私どもKIUでは、学校のLANを作る「ネットデイ」というのをやっております。国の予算化の不足、各自治体の予算化の不足で、これをボランティアで勧めていこうというものなのですが、学校の先生とボランティアで一緒に汗をかいて仕事をすることによって、親しみや連帯感、信頼感が湧くという効果もあります。 KIUの場合、だいたい1回の「ネットデイ」を30人〜60人の規模で行なっています。麗澤大学でネットワークを専門にしている教員が私を入れて3人おりまして、3つのゼミがあります。その3つのゼミの生徒が授業の一貫として、学校の通線工事などのボランティアに参加しておりまして、ネットワークを作る実践が実験として勉強になっているようです。
今やらなければいけないのは、先生方の情報活用能力を高めること、情報科だけではなく全教科にわたって情報システムの利活用を進めること。それが学校と地域の共生につながるのだと思いますし、それを通じて家庭の教育も向上する可能性が出てきます。アイラの活動もそういう流れの中で非常に重要な使命を持っているという風に思います。
林 英輔

100校プロジェクトは実験的なモデル学校のプロジェクトで、インターネットを活用するとどんな教育内容があるのか、どんな学習効果があるのかを実証するという目的でした。そのなかでわかってきたこととしましては、金子先生のお話にもありましたが、「教師の役割の変化」というのが明らかで、非常に多様な能力が必要になるであろうということです。また、生徒の情報発信力、情報活用力、表現力というのがどれだけ伸びているかということもわかり、ネットワークという学校を開く意義も見えてきました。
学校で情報教育を行なうのは、一言でいうと情報活用能力の育成ということになります。文部省的解釈でいうと「生きる力を育成するための重要な要素」です。小・中・高を通じて総合的学習という情報教育の授業が入りました。中学校の技術・家庭科で「情報とコンピュータ」という科目を実習で1年間行なうということで、すでに施行されています。また、高校では情報科が新設されます。普通科の場合、情報科のなかに3科目、情報A、情報B、情報Cがありまして、来年度からこの授業が始まるということになっています。情報Aでは、情報活用能力、リテラシーを中心に学び、実際に問題解決をするために実習を行うという内容。情報Bは、コンピュータ開発、情報科学ということで、科学的理解を深めます。情報Cは、文科系の大学に進む学生もおりますので、情報化社会に参画する態度、情報活用に際してのいろいろな難しい問題をきちんと理解できるように学びます。社会判断も含みます。それぞれの高校は、これらの科目のうち1つを必ず1年学習するという選択実習になっています。
教育の情報化というのは、1つには全教科の学習で情報システムの活用を行なうということ、もう1 つは、学校の情報化を行なうということです。文部科学省は、「情報教育に関する手引」の新版を公表しました。まだ出版物になっているかはわかりませんが、文部省のWebページから見ることができます。「情報活用能力育成の考え方」というところから説明されていまして、各学校段階、各教科等と情報活用能力との関わりなどがかなり詳しく説明されています。すでに先生方は目にされていると思いますが、まず最初に取り組む具体的なイメージとしてこれを見ると、かなり助けになると思います。
柏市では97年ぐらいから、学校のインターネット接続と利活用の自主的な動きが出てきました。それを知ったわれわれ大学の同僚たちが手伝って、「柏インターネットユニオン」を作り、学校にインターネットのコネクティブを提供するということを始めました。現在、その組織はNPOとなりまして「NPO-KIU(KIU=柏インターネットユニオン)」として活動しています。柏市には私立学校(市立?)が50校ありますが、50校すべてがKIUネットワークに繋がっており、そのうち6割は学校インターネットプロジェクトのネットワークに繋がっています。
柏市の教員、父兄、子どもたち、この3つの層に対するアンケートによりますと、PCを使った授業に対する考えは子どもたちが一番進んでいるようでした。教員や父兄に関しては、そういった流れは歓迎しながらも、具体的にそれに対して力を出すという段階になるとかなり戸惑いが見られます。で、ここで情報教育をやっていかなければいけないという訳です。
アンケートでもわかったのですが、教員も父兄もあるところまでは来ているけれど、あともう一歩が足りない。教員も意識変化は進んできてはいるが、授業運用上の難しさはまだ減っていない。教材ソフトやコンテンツ、参考情報、教員の研修がどうしても必要なのです。教員と父兄のことを考えると、地域からの支援がもっと積極的に進められなければいけないと思っております。
地域コミュニティーの活動拠点としての開かれた学校づくりを進めていくには、特色ある教育活動の展開が必要になってきます。総合的学習や体験学習などは、やはり地域の協力があったほうが上手くいく訳ですから、そういう意味でも学校と地域の関係を改善していかなければいけません。学校は、学校の情報を保護者や住民に伝えることが必要です。しかしここで問題になるのが、人と人が顔を合わせる会議などは昔のように開けないということです。ここにネットワークを活用することで道が開けると思います。行政との交流の手段としても、学校はインターネットを介して、方針や教育課程の内容、教育活動について意見を交わすことができるのです。
私どもKIUでは、学校のLANを作る「ネットデイ」というのをやっております。国の予算化の不足、各自治体の予算化の不足で、これをボランティアで勧めていこうというものなのですが、学校の先生とボランティアで一緒に汗をかいて仕事をすることによって、親しみや連帯感、信頼感が湧くという効果もあります。 KIUの場合、だいたい1回の「ネットデイ」を30人〜60人の規模で行なっています。麗澤大学でネットワークを専門にしている教員が私を入れて3人おりまして、3つのゼミがあります。その3つのゼミの生徒が授業の一貫として、学校の通線工事などのボランティアに参加しておりまして、ネットワークを作る実践が実験として勉強になっているようです。
今やらなければいけないのは、先生方の情報活用能力を高めること、情報科だけではなく全教科にわたって情報システムの利活用を進めること。それが学校と地域の共生につながるのだと思いますし、それを通じて家庭の教育も向上する可能性が出てきます。アイラの活動もそういう流れの中で非常に重要な使命を持っているという風に思います。
